女性の薄毛・抜け毛はなぜ起こる?産後・更年期・女性型脱毛症の原因と治療

「最近、分け目が以前より目立つようになった」
「シャンプーをすると髪がたくさん抜ける」
「髪のボリュームが減って、地肌が透けて見える」
「出産後から急に抜け毛が増えた」
「更年期になってから髪が細くなった気がする」
このような変化に悩んでいませんか?
女性の抜け毛や薄毛には、さまざまな原因があります。
代表的なのが**女性型脱毛症(Female Pattern Hair Loss:FPHL)**ですが、それ以外にも、
産後の休止期脱毛
急激なダイエット
甲状腺疾患
栄養不足
円形脱毛症
頭皮の病気
薬剤
強い身体的ストレス
などが隠れていることがあります。
つまり、
「年齢だから仕方ない」「更年期だから薄くなっただけ」
と決めつけるのはおすすめできません。
今回は、女性の薄毛・抜け毛について、原因・特徴・検査・治療・皮膚科を受診する目安までわかりやすく解説します。
女性の髪は毎日ある程度抜ける
まず知っておきたいのが、髪には**毛周期(ヘアサイクル)**があるということです。
髪の毛は、
成長期↓退行期↓休止期↓脱毛
というサイクルを繰り返しています。
そのため、健康な人でも毎日ある程度の髪は自然に抜けます。
重要なのは単純な「抜け毛の本数」だけではありません。
例えば、
分け目が広くなった
頭頂部が透ける
髪一本一本が細くなった
ポニーテールが以前より細くなった
など、髪全体の密度や太さが変化していないかを見ることが重要です。
女性型脱毛症とは?
女性の薄毛で代表的なのが女性型脱毛症です。
日本皮膚科学会によると、女性型脱毛症では男性型脱毛症とは異なり、
前髪が比較的残り、その少し後ろから頭頂部にかけて薄くなる
パターンが多いとされています。
「生え際が大きく後退する」というより、
分け目が広がる頭頂部の地肌が目立つ髪全体のボリュームが減る
という形で気づく女性が少なくありません。
女性型脱毛症の初期症状
こんな変化がないか確認してみましょう。
分け目が以前より太く見える
頭頂部の地肌が透けている
髪が細く柔らかくなった
髪型が決まりにくくなった
頭頂部のボリュームが出ない
ヘアゴムで結んだ髪が細くなった
特に、
「抜け毛よりも、髪が細くなった」
という変化は重要です。
なぜ女性型脱毛症になるの?
男性型脱毛症では男性ホルモンの作用が大きな原因となります。
一方、女性型脱毛症について日本皮膚科学会は、男性ホルモンの影響について明確なデータが十分ではなく、女性ホルモンの状態を含め複数の要因が関係すると考えられていると説明しています。
つまり、
「男性ホルモンが多い女性だから薄毛になる」
という単純な病気ではありません。
年齢、遺伝的な背景、ホルモン環境など複数の要素を考える必要があります。
更年期になると髪が薄くなる?
40代・50代になり、
「急に髪のボリュームがなくなった」
と感じる女性もいます。
閉経前後にはエストロゲンなど女性ホルモンの環境が大きく変化します。
女性型脱毛症は中高年女性でも多くみられるため、更年期と薄毛を同時に意識する方は少なくありません。
ただし、
「更年期だから抜け毛が増えた」
と自己判断してはいけません。
同じ年代では、
甲状腺疾患
貧血・鉄不足
栄養不足
薬剤
その他の脱毛症
なども起こり得ます。
出産後に髪が大量に抜けるのはなぜ?
産後に、
「お風呂の排水口が髪でいっぱいになる」
ほど抜け毛が増える方がいます。
これは産後の休止期脱毛の可能性があります。
妊娠中はホルモン環境の影響で毛周期が変化します。
出産後にホルモン環境が大きく変化すると、一度に多くの毛が休止期へ移行し、しばらくして抜け毛が増えることがあります。
日本皮膚科学会も、妊娠や大きな手術、重症感染症、過激なダイエットなどのあとに、毛周期が影響を受けて休止期脱毛が起こることがあると説明しています。
産後の抜け毛はずっと続く?
多くの休止期脱毛では原因となった状態が改善すると、毛周期も少しずつ正常化していきます。
ただし、
抜け毛が長期間改善しない
明らかに地肌が目立つ
円形に抜けている
頭皮に赤み・かゆみがある
強い疲労感など他の症状がある
場合には、産後脱毛以外の原因も確認した方がよいでしょう。
急激なダイエットも抜け毛の原因になる
短期間で大幅に体重を落としたあとに、抜け毛が増えることがあります。
髪を作るためには、
たんぱく質
鉄
亜鉛
その他のビタミン・ミネラル
などさまざまな栄養素が必要です。
極端な食事制限が続くと、身体は生命維持に重要な臓器へ栄養を優先します。
その結果、毛周期に影響し、休止期脱毛を起こすことがあります。
日本皮膚科学会も、過激なダイエット後の休止期脱毛について注意を促しています。
甲状腺の病気で髪が抜けることもある
女性の抜け毛では、皮膚科以外の病気が隠れている場合もあります。
その代表が甲状腺疾患です。
日本皮膚科学会では、
甲状腺機能低下症
副腎皮質機能不全症
亜鉛欠乏症
などでも脱毛が起こり得ると説明しています。
そのため、
抜け毛+疲れやすい抜け毛+寒がりになった抜け毛+体重変化
など他の症状がある場合には、その情報も医師へ伝えてください。
「丸く抜けた」場合は円形脱毛症かも
女性型脱毛症は一般的に、
全体的・頭頂部中心に徐々に薄くなる
病気です。
一方、
ある日突然、丸く毛が抜けた
場合には円形脱毛症の可能性があります。
円形脱毛症は自己免疫が関係する脱毛症です。
日本皮膚科学会では2024年に円形脱毛症診療ガイドラインを改訂しており、現在では脱毛範囲や病状に応じて複数の治療法があります。
女性型脱毛症とは治療方法が大きく異なるため、正しい診断が重要です。
頭皮が赤い・かゆい場合も皮膚科へ
髪だけでなく、
頭皮が赤い
フケが大量に出る
強いかゆみ
湿疹
痛み
かさぶた
などがある場合には、頭皮の皮膚疾患が原因となっている可能性があります。
単純な女性型脱毛症ではないことがありますので、頭皮も含めて診察します。
引っ張る髪型にも注意
髪を毎日強く引っ張るヘアスタイルを長期間続けると、毛根に負担がかかり、牽引性脱毛症につながることがあります。
例えば、
強く結ぶポニーテール
きついお団子
エクステ
同じ場所で髪を繰り返し強く結ぶヘアスタイル
などには注意が必要です。
髪を結ぶ際には、できるだけ強く引っ張らないようにし、髪や頭皮への負担を減らすことが大切です。
女性の薄毛ではどんな検査をする?
女性の薄毛では、まず現在の症状や経過、生活習慣などについて詳しく確認します。
診察では、
いつ頃から抜け毛が増えたか
どの部分が薄くなっているか
髪の太さや密度に変化があるか
出産や月経、閉経などの状況
ダイエットや食事内容
服用している薬
ほかの体調変化
などを確認します。
必要に応じて血液検査などを行い、貧血や甲状腺機能、栄養状態など、脱毛の原因となる病気が隠れていないか確認することもあります。
症状によって必要な検査は異なるため、医師が状態に合わせて判断します。
女性の薄毛にはどんな治療がある?
治療は脱毛の原因によって異なります。
女性型脱毛症の場合には、ミノキシジル外用療法などが治療の選択肢となります。
一方、休止期脱毛では、原因となっている栄養状態や身体的ストレスなどを確認し、その原因への対応を行うことが基本となります。
円形脱毛症では、症状や脱毛範囲に応じて、外用療法や局所注射、その他の治療が検討されます。
つまり、
「薄毛=すべて同じ治療」ではありません。
まず原因を見極めることが、適切な治療につながります。
なお、治療薬には使用できる人・使用できない人があり、妊娠・授乳中などは注意が必要な場合があります。
自己判断で薬を使用せず、医師や薬剤師に相談しましょう。
こんなときは皮膚科を受診しましょう
次のような変化がある場合は、一度皮膚科で相談することをおすすめします。
分け目が以前より明らかに広がった
頭頂部の地肌が目立つようになった
髪が細くなってきた
抜け毛が長期間続いている
急激に抜け毛が増えた
円形に髪が抜けた
眉毛やまつ毛などにも脱毛がある
頭皮の赤み・かゆみ・痛みがある
出産や急激なダイエットの後から抜け毛が続いている
抜け毛とともに全身の体調変化がある
特に、急に脱毛が増えた場合や、円形に抜けた場合、頭皮に炎症がある場合は、早めに受診しましょう。
女性の薄毛は「年齢のせい」と決めつけないことが大切
女性の薄毛・抜け毛には、女性型脱毛症だけでなく、
産後の休止期脱毛
急激なダイエット
甲状腺疾患
栄養不足
円形脱毛症
牽引性脱毛症
頭皮の病気
薬剤など
さまざまな原因があります。
そのため、
「年齢のせいだから仕方ない」「産後だからそのうち治る」「更年期だから仕方ない」
と決めつけず、気になる変化があれば一度皮膚科で相談することが大切です。
薄毛は、原因によって治療方法や経過が異なります。
「最近、髪が変わってきた」
と感じた段階で相談することで、原因を確認し、適切な治療やケアにつなげることができます。
気になる抜け毛や薄毛がある方は、まずはお気軽に皮膚科へご相談ください。





