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女性に多い「髄膜腫」とは?頭痛・けいれん・視力低下などの症状と治療

10月1日
読了時間: 10分
頭痛や視力の変化を気にする女性と脳のイラストを用いて、女性に多い髄膜腫の症状・検査・治療を紹介する脳神経外科ブログのサムネイル画像。

「最近、頭痛が続くようになった」

「以前より見えにくい気がする」

「突然けいれんを起こした」

「MRIで偶然“髄膜腫”が見つかった」

「脳腫瘍と言われたけれど、がんなの?」

このような不安を感じていませんか?

髄膜腫(ずいまくしゅ)は、脳そのものから発生する腫瘍ではなく、脳を包んでいる「髄膜」に関連する細胞から発生する腫瘍です。

原発性脳腫瘍の中でもよくみられる腫瘍の一つで、女性に多いことが特徴です。

多くは比較的ゆっくり大きくなり、良性に分類されますが、できる場所や大きさによっては、頭痛、けいれん、手足の麻痺、視力・視野の異常などを引き起こすことがあります。

また、小さく症状がない髄膜腫では、すぐに手術をせず、MRIで定期的に経過を見ることもあります。

今回は、女性が知っておきたい髄膜腫の症状、女性に多い理由、妊娠やホルモンとの関係、検査、治療についてわかりやすく解説します。


髄膜腫とは?

脳は、頭蓋骨の中で「髄膜」と呼ばれる膜に包まれています。

髄膜腫は、この髄膜に関連する細胞から発生する腫瘍です。

脳そのものから発生するというより、脳の外側から脳や神経を押すように大きくなることがあります。

多くはゆっくり成長するため、小さいうちは症状がなく、

「頭痛の検査でMRIを撮ったら偶然見つかった」

「脳ドックで初めて指摘された」

というケースもあります。


髄膜腫は「脳のがん」なの?

「脳腫瘍」と聞くと、

「がんなのでは?」

と心配になる方も多いでしょう。

しかし、髄膜腫の多くは良性に分類されます。

一方、すべての髄膜腫が同じ性質というわけではなく、再発しやすいタイプや、より悪性度の高いタイプもあります。


そのため、

「髄膜腫=必ず安心」

でも、

「髄膜腫=すぐに命に関わるがん」

でもありません。

腫瘍の大きさ、場所、増大速度、症状、画像所見などを総合して判断します。


なぜ髄膜腫は女性に多いの?

髄膜腫は男性より女性に多くみられることが知られています。

その理由は完全には解明されていませんが、女性ホルモンとの関連が研究されています。

髄膜腫の中にはプロゲステロン受容体などを持つものがあり、妊娠などホルモン環境が大きく変化する時期に、腫瘍の大きさや症状が変化するケースも報告されています。

ただし、

「女性ホルモンが多いから髄膜腫になる」

と単純に説明できる病気ではありません。

ホルモンだけでなく、遺伝子の変化など複数の要因が関係すると考えられています。


髄膜腫ではどんな症状が出る?

髄膜腫の症状は「どこにできたか」によって大きく異なります。

脳には、手足を動かす、言葉を話す、見る、においを感じる、記憶するといった、それぞれ異なる働きを担当する場所があります。

髄膜腫が大きくなり周囲の脳や神経を圧迫すると、その場所に応じた症状が現れます。

頭痛

髄膜腫が大きくなり、周囲の脳を圧迫したり頭蓋内の圧力に影響したりすると、頭痛が起こることがあります。


ただし、頭痛があるからといって髄膜腫とは限りません。


特に、

「以前とは頭痛のパターンが変わった」

「頭痛が徐々に悪化している」

「頭痛以外の神経症状もある」

といった場合には、一度医療機関で相談しましょう。


けいれん・てんかん発作

髄膜腫によって周囲の脳が刺激されると、けいれん発作が起こる場合があります。

突然、

・手足がけいれんする・体が硬直する・意識を失う・反応がなくなる

などの症状が現れることがあります。

成人になって初めてけいれん発作を起こした場合には、脳の病気が隠れていないか確認することが重要です。


手足の麻痺・しびれ

運動を担当する脳の近くに髄膜腫ができると、

「片方の手に力が入りにくい」

「片脚が動かしにくい」

「物をよく落とすようになった」

「歩きにくくなった」

などの症状が現れることがあります。


視力・視野の異常

視神経の近くに髄膜腫ができると、

「片目が見えにくい」

「視野の一部が欠ける」

「以前より視力が落ちた」

などの症状が現れる場合があります。

場所によっては、比較的小さな腫瘍でも視神経を圧迫して症状が現れることがあります。

においが分かりにくくなる

嗅覚に関係する神経の近くに髄膜腫ができると、においを感じにくくなることがあります。

徐々に進行すると本人が変化に気づきにくい場合もあります。


性格や行動・認知機能の変化

前頭葉などを圧迫する大きな髄膜腫では、

「以前と性格が変わった」

「物忘れが増えた」

「仕事の段取りができなくなった」

「集中できなくなった」

など、一見すると脳腫瘍とは結びつきにくい変化が現れる場合もあります。


MRIで偶然見つかったら手術が必要?

必ずしも手術が必要とは限りません。

症状がなく、小さな髄膜腫では、MRIなどを定期的に行いながら経過観察することがあります。

一方、

・腫瘍が大きくなっている・脳や神経を圧迫している・けいれんなどの症状がある・麻痺がある・視力や視野に影響している

といった場合には、治療を検討します。

重要なのは「髄膜腫があるかどうか」だけではなく、

「どこにあるのか」

「どのくらい大きいのか」

「大きくなっているのか」

「症状があるのか」

という点です。


髄膜腫は妊娠すると大きくなる?

髄膜腫と妊娠との関係も研究されています。

妊娠中はホルモン環境や体液量、血流などが大きく変化します。

その影響によって、一部の髄膜腫では妊娠中に腫瘍の大きさや症状が変化するケースが報告されています。

ただし、

「髄膜腫がある女性は妊娠できない」

「妊娠すると必ず髄膜腫が大きくなる」

という意味ではありません。

髄膜腫の場所、大きさ、症状、増大傾向などによって対応は異なります。

髄膜腫と診断されていて妊娠を希望している場合には、妊娠前に脳神経外科と産婦人科で相談しておくとよいでしょう。


ピルや更年期のホルモン治療は大丈夫?

髄膜腫と性ホルモンとの関連については研究が続いています。

ホルモン製剤と髄膜腫との関係は、薬剤の種類や使用量、使用期間などによって異なる可能性があります。

そのため、すべてのピルやホルモン治療を一括して「危険」と考えるのは適切ではありません。

すでに髄膜腫を指摘されていて、

・低用量ピル・黄体ホルモン製剤・更年期のホルモン療法・不妊治療に伴うホルモン治療

などを受けている場合には、自己判断で中止せず、薬の正式名称を処方医と脳神経外科の医師に伝えて相談しましょう。


髄膜腫はどうやって調べる?

髄膜腫が疑われる場合、重要なのが画像検査です。

MRI検査

MRIでは、

・腫瘍の場所・大きさ・周囲の脳との関係・脳浮腫の有無・神経や血管との位置関係

などを詳しく確認します。

CT検査

CTでは、腫瘍の状態に加えて、石灰化や頭蓋骨の変化などを確認するのに役立つ場合があります。

病理検査

手術を行った場合には、摘出した組織を顕微鏡で詳しく調べます。

これによって腫瘍の種類やグレードなどを確認します。


髄膜腫の治療

治療方針は、

・症状の有無・腫瘍の大きさ・できた場所・増大速度・年齢・全身状態・周囲の神経や血管との関係

などを総合して決めます。

経過観察

小さく、症状がなく、すぐに治療する必要性が低いと判断された場合には、定期的にMRIを撮影しながら経過を観察します。

「脳腫瘍なのに何もしなくて大丈夫?」

と不安になるかもしれません。

しかし、すぐに治療するメリットよりも手術などのリスクが大きいと判断される場合には、適切に経過を見ることも重要な選択肢です。

手術

症状がある場合や腫瘍が大きくなっている場合などには、手術による摘出を検討します。

ただし、

「全部取ればいい」

という単純なものではありません。

重要な神経や血管に強く接している場合、無理に全摘出すると神経障害などのリスクが高くなることがあります。

安全性と腫瘍をコントロールする効果のバランスを考えて治療方針を決めます。

放射線治療

腫瘍の場所や大きさ、手術のリスク、手術後に残った腫瘍、再発などの状況によっては、定位放射線治療などを検討する場合があります。

手術と放射線治療を組み合わせることもあります。


「良性」でも治療が必要になるのはなぜ?

髄膜腫では「良性」という言葉だけで治療の必要性を判断することはできません。

脳は頭蓋骨という限られた空間の中にあります。

そのため、良性でゆっくり大きくなる腫瘍でも、場所によっては、

・視神経・運動に関係する脳・言語に関係する脳・脳幹・重要な血管

などを圧迫する可能性があります。

つまり、

「悪性か良性か」

だけではなく、

「どこにあるか」

「どのくらい大きいか」

「大きくなっているか」

「症状があるか」

が非常に重要です。


こんな症状は早めに脳神経外科へ

・以前とは違う頭痛が続く・初めてけいれんを起こした・片方の手足に力が入りにくい・しびれや麻痺が進んでいる・視力が低下した・視野の一部が見えにくい・言葉が出にくい・性格や行動が以前と大きく変わった・認知機能の変化が目立つ・MRIや脳ドックで髄膜腫を指摘された


突然の麻痺や言葉の障害は救急受診を

片方の顔や手足が突然動かなくなったり、

「急に言葉が出ない」

「突然ろれつが回らない」

「突然意識がおかしくなった」

といった症状が現れた場合には、髄膜腫だけでなく脳梗塞や脳出血など緊急性の高い病気も考えられます。

また、突然経験したことのない激しい頭痛では、くも膜下出血などの可能性もあります。

このような急激な症状がある場合には、通常の外来予約を待たず、速やかに救急医療を受けることが重要です。


何科を受診すればいい?

髄膜腫が疑われる場合や、MRI・CTで髄膜腫を指摘された場合には、脳神経外科が主な受診先です。

特に、

・髄膜腫が大きくなっていると言われた・頭痛以外の神経症状がある・けいれんを起こした・視力や視野に変化がある・妊娠を希望している・ホルモン治療を受けている

といった場合には、現在の状態と今後の方針について相談しましょう。


よくある質問

Q.髄膜腫が見つかったら必ず手術しますか?

必ずしも手術するわけではありません。

小さく、症状がなく、増大傾向が乏しい場合には、定期的なMRIで経過観察することがあります。


Q.髄膜腫は女性に多いですか?

はい。髄膜腫は男性より女性に多いことが知られています。

女性ホルモンとの関連も研究されていますが、発症の仕組みがすべて解明されているわけではありません。


Q.髄膜腫はがんですか?

多くの髄膜腫は良性に分類されます。

ただし、再発しやすいタイプや悪性度の高いタイプもあるため、腫瘍の状態に応じた評価が必要です。


Q.髄膜腫があっても妊娠できますか?

髄膜腫があるというだけで、妊娠できないということではありません。

ただし、一部では妊娠中に腫瘍の大きさや症状が変化することがあります。

妊娠を希望する場合には、事前に脳神経外科と産婦人科で相談しましょう。


Q.髄膜腫がある場合、ピルはやめたほうがいいですか?

自己判断で中止しないでください。

ホルモン製剤の種類などによって評価が異なるため、使用している薬の正式名称を脳神経外科と処方医に伝えて個別に相談することが重要です。


まとめ|女性に多い髄膜腫、症状がなくても定期的な確認が大切

髄膜腫は、脳を包む髄膜に関連する細胞から発生する腫瘍で、女性に多いことが特徴です。

多くは比較的ゆっくり成長し、良性に分類されます。

小さいうちは症状がなく、MRIや脳ドックで偶然見つかることもあります。

一方、大きくなって脳や神経を圧迫すると、

・頭痛・けいれん・手足の麻痺・視力・視野障害・言語障害・認知機能の変化

などが現れる場合があります。

髄膜腫が見つかったからといって、すぐに手術が必要とは限りません。

腫瘍の場所、大きさ、増大傾向、症状などを確認しながら、経過観察、手術、放射線治療などから適切な治療方針を検討することが重要です。

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