女性に多い変形性膝関節症とは?階段・立ち上がりで膝が痛む原因と治療を整形外科が解説

「立ち上がった瞬間に膝が痛い」
「階段を下りるときに膝がズキッとする」
「以前は普通にできた正座がつらくなった」
「最近、膝が少しO脚になってきた気がする」
このようなお悩みはありませんか?
40代・50代以降の女性で増えてくる膝の病気の代表が、変形性膝関節症です。
日本整形外科学会によると、変形性膝関節症は男女比がおよそ1:4で女性に多く、高齢になるほど増加するとされています。
初めのうちは、
「歩き始めだけ少し痛いから大丈夫」
と思ってしまうこともあります。
しかし進行すると、
階段がつらい
正座ができない
膝に水がたまる
膝が伸びきらない
O脚が目立つ
歩く距離が短くなる
など、日常生活にも影響するようになります。
この記事では、女性に多い変形性膝関節症について、
初期症状
女性に多い理由
膝が痛くなる原因
O脚との関係
病院を受診するタイミング
レントゲン・MRI検査
運動・リハビリ
注射・薬による治療
手術が必要になるケース
まで、整形外科の視点からわかりやすく解説します。
変形性膝関節症とは?
変形性膝関節症とは、膝関節にある軟骨などが徐々に変化し、
痛み・腫れ・動かしにくさ・関節の変形
などが起こる病気です。
膝の関節では、太ももの骨である大腿骨と、すねの骨である脛骨などが関節を作っています。
その表面を覆っているのが関節軟骨です。
関節軟骨は、膝に加わる衝撃を和らげ、関節を滑らかに動かす重要な役割があります。
変形性関節症では、関節軟骨の変性・摩耗だけでなく、滑膜の炎症や骨の変化などが複合的に起こり、痛みや動きにくさにつながります。
変形性膝関節症は女性に多い
変形性膝関節症は男性にも起こりますが、女性に多い病気です。
日本整形外科学会では男女比を約1:4としています。
ただし、
「女性ホルモンだけが原因」
と単純に説明できる病気ではありません。
発症・進行には、
加齢
体重による負担
遺伝的な素因
過去の膝のけが
半月板・靱帯の損傷
膝への繰り返しの負荷
など、さまざまな要因が関係します。
特に40代・50代以降になり、
「昔とは膝の感じが違う」
と感じ始めた女性は、一度膝の状態を確認してみてもよいでしょう。
初期症状は「立ち上がり」「歩き始め」の膝痛
変形性膝関節症の初期に特徴的なのが、
動き始めの痛み
です。
例えば、
朝起きて歩き始めると痛い
椅子から立った瞬間に痛む
車から降りて最初の数歩が痛い
長く座ったあとに歩き始めると痛い
といった症状です。
少し動いていると楽になるため、
「年齢のせいかな」
と放置されやすいのも特徴です。
日本整形外科学会でも、初期には立ち上がりや歩き始めなど、動作を開始したときに痛みを感じ、休むと改善することが多いとしています。
階段を下りると膝が痛い
女性からよく聞くのが、
「上るより下りるほうが膝が痛い」
という症状です。
階段では平地歩行より膝への負担が大きくなります。
変形性膝関節症が進行してくると、
階段昇降
正座
しゃがむ
長時間歩く
などの動作が難しくなります。
エスカレーターやエレベーターばかり使うようになったなど、日常生活の行動が変化している場合も重要なサインです。
膝に「水がたまる」のはなぜ?
変形性膝関節症では、
「膝に水がたまった」
と言われることがあります。
膝関節内で炎症が起こると、関節液が増え、膝が腫れる場合があります。
すると、
膝がパンパンする
曲げにくい
重たい
熱っぽい
膝の裏まで張る
などの症状を感じることがあります。
日本整形外科学会も、変形性膝関節症の代表的な症状として膝の痛みと関節液の貯留を挙げています。
O脚になってきたら要注意?
日本人の変形性膝関節症では、膝の内側に負担がかかり、O脚変形が目立ってくるケースがあります。
ただし、
O脚=必ず変形性膝関節症
という意味ではありません。
整形外科では、
膝の向き
O脚・X脚の程度
関節の動き
痛みの場所
腫れ
レントゲン
などを確認して診断します。
変形が進むと、膝が完全に伸びなくなることもあります。
「軟骨がすり減ったら、もう元には戻らないから何もできない」は違います
「軟骨がすり減っています」
と言われると、
「もう治療しても意味がないのでは?」
と思う方もいます。
しかし、治療の目的は軟骨だけを見ることではありません。
変形性膝関節症治療では、
痛みを減らす関節の動きを保つ筋力を維持する歩行能力を保つ日常生活への支障を減らす
ことが非常に重要です。
日本整形外科学会の2023年診療ガイドラインでも、変形性膝関節症の治療目標は、症状を緩和し、関節機能や日常生活動作、QOLを改善することとされています。
体重は膝に関係する?
関係します。
歩行や階段などでは、膝に体重以上の負荷が繰り返しかかります。
そのため体重が増えるほど、膝への負担も大きくなります。
日本整形外科学会も、変形性膝関節症には肥満が関係するとし、肥満がある場合の減量を日常生活上の対策として挙げています。
2023年の診療ガイドラインでも、
患者教育・運動・減量
は変形性膝関節症治療の重要な柱と位置づけられています。
ただし、無理な食事制限は筋肉量の低下につながります。
特に中高年女性では、
体重だけを落として筋肉まで減らさない
ことが重要です。
膝が痛いときは運動しない方がいい?
「痛いから動かさない方がいい」
と思われがちですが、変形性膝関節症では適切な運動療法が重要です。
日本整形外科学会では、
大腿四頭筋の筋力訓練
関節可動域訓練
などを治療として挙げています。
厚生労働省も、変形性膝関節症の人に対する運動について、膝を支える筋肉を鍛えることで膝の安定性を高め、関節の動きを改善する効果が期待できるとしています。
特に大切なのが「太ももの筋肉」
膝を支えるうえで重要なのが、
大腿四頭筋
です。
太ももの前側にある大きな筋肉で、歩行や立ち上がりの際に膝を安定させます。
筋力が低下すると、
膝が痛い↓動かなくなる↓筋力が低下する↓さらに歩けなくなる
という悪循環に陥ることがあります。
だからこそ、痛みを適切にコントロールしながらリハビリを行うことが重要です。
ただし自己流の運動には注意
膝が痛いからといって、
「とにかく1万歩歩こう」
というのも適切とは限りません。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でも、変形性膝関節症などの慢性疾患がある人では、状態に応じた身体活動を行い、痛みや変形などがある場合は事前に医師などへ相談することを勧めています。
膝の状態、年齢、筋力などによって適切な運動量は異なります。
女性におすすめしたい「膝を守る生活習慣」
日常生活では、
太ももの筋肉を維持する
長時間同じ姿勢を続けない
適正体重を維持する
無理な正座や深いしゃがみ込みを避ける
痛みを我慢して歩き続けない
必要に応じて杖や装具を使う
なども大切です。
特に、
「膝が痛いから外出しなくなった」
という状態は注意が必要です。
運動量の低下は筋力低下につながり、さらに歩行能力が落ちる可能性があります。
整形外科ではどんな検査をする?
レントゲン検査
変形性膝関節症では基本的な検査です。
関節の隙間
骨の変形
骨棘
O脚などのアライメント
を評価します。
日本整形外科学会でも、問診・診察とX線検査を基本とし、必要に応じてMRIを行うとしています。
MRI検査が必要な場合も
膝が痛い=すべて変形性膝関節症ではありません。
例えば、
半月板損傷
靱帯損傷
骨壊死
軟骨損傷
その他の疾患
などが疑われる場合には、MRI検査を検討します。
「レントゲンではそれほど悪くないのに強く痛む」
という場合にも、症状によって追加検査が必要になることがあります。
変形性膝関節症の治療
治療は患者さんの状態によって異なります。
基本的には、
①生活指導
②運動・リハビリテーション
③薬物療法
④注射治療
⑤装具療法
⑥手術治療
などを組み合わせます。
「膝が痛い=すぐ手術」
ではありません。
薬による治療
症状に合わせて、
外用薬
消炎鎮痛薬
その他の鎮痛薬
などを使用します。
年齢、腎機能、胃腸障害、他に服用している薬などによって適した薬は異なります。
特に市販の痛み止めを長期間自己判断で飲み続けている方は、一度医師へ相談してください。
ヒアルロン酸注射
日本では変形性膝関節症に対し、関節内へのヒアルロン酸注射が行われることがあります。
日本整形外科学会も保存治療の一つとしてヒアルロン酸関節内注射を挙げています。
ただし、すべての膝痛に同じように有効というわけではありません。
症状や変形の程度を確認しながら治療を選択します。
リハビリテーションは非常に重要
薬や注射で痛みを軽減しても、
筋力や膝の動きが低下したままでは十分ではありません。
リハビリでは、
大腿四頭筋
お尻の筋肉
股関節周囲筋
膝関節の可動域
歩行
バランス
などを評価し、一人ひとりに合わせた運動を行います。
変形性膝関節症では保存的治療としての運動療法も重要であることが、日本整形外科学会のガイドラインで示されています。
手術が必要になるのはどんな場合?
保存治療を行っても、
強い痛みが続く
歩ける距離が大きく短くなった
夜も痛い
膝の変形が強い
日常生活に大きな支障がある
場合には手術を検討することがあります。
代表的なのは、
高位脛骨骨切り術
人工膝関節置換術
などです。
日本整形外科学会も、保存療法で十分改善しない場合には、変形の程度などに応じて手術治療を検討するとしています。
「年齢だから仕方ない」と諦めないで
膝の痛みを相談すると、
「もう歳だから仕方ない」
と言われると思っている方もいるかもしれません。
しかし、膝の痛みを放置すると、
痛い↓歩かない↓筋力が落ちる↓さらに歩けない
という悪循環につながる場合があります。
変形性膝関節症は中高年の移動機能にも大きな影響を与える病気であり、日本整形外科学会の診療ガイドラインでも移動機能を保つことの重要性が強調されています。
こんな女性は一度整形外科へ
次のような症状がある方は、一度膝の状態を確認してみましょう。
立ち上がると膝が痛い
歩き始めが痛い
階段の上り下りがつらい
正座ができなくなった
膝が腫れる
膝に水がたまる
O脚が目立ってきた
膝が伸びきらない
歩ける距離が短くなった
痛みで外出が減った
特に、
「最近なんとなく膝が痛い」
という初期の段階で相談することも大切です。
よくある質問
Q. 変形性膝関節症は女性に多いですか?
はい。
日本整形外科学会では、男女比はおよそ1:4で女性に多いとされています。
Q. 階段を下りると膝が痛いのですが、変形性膝関節症ですか?
変形性膝関節症でもみられる症状ですが、それだけでは診断できません。
半月板損傷など別の原因もあるため、症状が続く場合は整形外科で診察を受けてください。
Q. 膝に水がたまったら抜いた方がいいですか?
すべてのケースで必ず抜くわけではありません。
腫れの程度や原因、感染症の可能性などを確認して医師が判断します。
Q. 膝が痛くてもウォーキングした方がいいですか?
適切な運動は大切ですが、痛みを我慢して歩き続ける必要はありません。
運動の種類や量は膝の状態に合わせて調整することが重要です。厚生労働省も、痛みや変形がある場合には専門家へ相談しながら運動することを勧めています。
Q. 変形性膝関節症になったら必ず手術になりますか?
いいえ。
多くの場合、まずは運動療法、薬、注射、装具などの保存治療を行います。
症状や変形が進み、保存治療でも日常生活への支障が強い場合に手術を検討します。
まとめ|女性の膝痛は「まだ軽いから」と放置しないことが大切
変形性膝関節症は、特に中高年以降の女性に多い病気です。
初期には、
立ち上がり歩き始め
などの軽い痛みから始まり、進行すると、
階段正座長距離歩行
などが難しくなる場合があります。
重要なのは、
「軟骨が減った=もう何もできない」
と諦めないことです。
変形性膝関節症では、
運動・リハビリ体重管理薬物治療関節内注射装具必要に応じた手術
など、さまざまな治療があります。
「最近、立ち上がると膝が痛い」
「階段を避けるようになった」
「歩く距離が短くなった」
という方は、膝がさらに悪くなるまで我慢せず、一度整形外科へご相談ください。





