50代・60代女性に多い腰椎すべり症とは?腰痛・お尻や脚のしびれ・歩きにくさ

「最近、長く歩くとお尻や脚が痛くなる」
「買い物中、少し休むとまた歩ける」
「腰よりも太ももや脚のしびれが気になる」
「50代になってから歩ける距離が短くなった」
このような症状はありませんか?
中年以降の女性で注意したい腰の病気の一つが、腰椎変性すべり症です。
腰椎変性すべり症は、腰の骨である腰椎が前後にずれることで神経の通り道が狭くなり、神経が圧迫される病気です。
日本脊椎脊髄病学会では、中年以降の女性に好発し、第4腰椎に多くみられると説明しています。
特徴的なのは、必ずしも「腰がものすごく痛い」とは限らないことです。
むしろ、
立っているとお尻や脚が痛い歩くとしびれてくる少し休むとまた歩ける
といった症状から見つかることがあります。
今回は、女性に多い腰椎変性すべり症について、原因・症状・脊柱管狭窄症との関係・検査・リハビリ・治療・手術まで整形外科の視点からわかりやすく解説します。
腰椎変性すべり症とは?
背骨の腰の部分には、5つの腰椎があります。
通常、それぞれの骨は安定した位置を保ちながら身体を支えています。
しかし加齢などによって、
椎間板
椎間関節
靱帯
などが変化すると、腰椎が不安定になり、上下の骨がずれてしまうことがあります。
これが腰椎変性すべり症です。
腰椎がずれることで神経が通る「脊柱管」が狭くなり、馬尾神経や神経根が圧迫されると、お尻や脚の痛み・しびれなどが現れます。
なぜ女性に多いの?
腰椎変性すべり症は、中年以降の女性に多いことが知られています。
ただし、
「女性ホルモンが減るからすべり症になる」
と単純に説明できる病気ではありません。
加齢に伴う椎間板・関節・靱帯などの変化が複合的に関係します。
40代後半~50代以降になると、
「以前より長く立っているのがつらい」
「歩くと脚がしびれる」
という変化があれば、単なる疲労や年齢のせいと決めつけないことが大切です。
腰が痛くなくても「腰の病気」のことがある
これは非常に重要です。
腰椎変性すべり症という名前から、
「腰が痛くなる病気」
と思われがちです。
しかし日本整形外科学会では、腰痛が比較的少ない患者さんや、まったく腰痛がない患者さんもいると説明しています。
その代わり、
お尻が痛む
太ももが痛む
脚がしびれる
長く立っていられない
歩ける距離が短くなる
といった症状が中心になることがあります。
特徴的なのが「歩くと痛い、休むと楽」
腰椎変性すべり症では、脊柱管狭窄症と似た症状がみられます。
代表的なのが、
間欠跛行(かんけつはこう)
です。
例えば、
「最初は普通に歩ける」
↓
「しばらく歩くと、お尻・太もも・脚が痛い、しびれる」
↓
「歩けなくなる」
↓
「少し座る、しゃがむ」
↓
「楽になって、また歩ける」
という経過です。
日本整形外科学会も、立ったり歩いたりするとお尻や太ももが痛くなり、しゃがんで休むと再び歩けるようになることを特徴として挙げています。
「スーパーのカートなら歩ける」は重要なサイン
腰部脊柱管狭窄症では、
前かがみになると症状が楽になる
ことがあります。
そのため、
「普通に歩くとつらいのに、ショッピングカートを押していると歩ける」
「自転車なら比較的大丈夫」
という方もいます。
日本脊椎脊髄病学会でも、腰を前かがみにした姿勢では症状が出にくいことがあると説明しています。
診察時には、このような日常生活での違いも医師に伝えてください。
腰椎すべり症と脊柱管狭窄症は違うの?
別の言葉ですが、深く関係しています。
腰椎変性すべり症
腰椎そのものに「ずれ」が生じている状態です。
腰部脊柱管狭窄症
神経が通る脊柱管が狭くなっている状態です。
腰椎がずれることで脊柱管が狭くなれば、
腰椎変性すべり症↓脊柱管が狭くなる↓神経が圧迫される↓脊柱管狭窄症のような症状
ということが起こります。
坐骨神経痛との関係は?
「坐骨神経痛」と言われたことがある女性もいるでしょう。
坐骨神経痛は病名というより、
お尻から太もも・ふくらはぎなどに痛みやしびれが出る症状
を指す言葉として使用されます。
原因には、
腰椎椎間板ヘルニア
腰部脊柱管狭窄症
腰椎変性すべり症
などさまざまな病気があります。腰痛・下肢症状では、原因を正確に診断することが重要です。
「年齢のせい」と放置してはいけない理由
歩くと痛いと、
痛い → 歩かない → 筋力が低下 → さらに歩けなくなる
という悪循環に陥ることがあります。
日本整形外科学会も、腰痛などによって日常生活が制限されると体力や腰を支える筋力が低下し、さらに症状につながる可能性を説明しています。
だからこそ、
「歩ける距離が以前より短くなった」
という変化を見逃さないことが大切です。
整形外科ではどんな検査をする?
レントゲン検査
腰椎のずれを確認する基本的な検査です。
通常の撮影だけでなく、腰を前後に曲げて撮影し、腰椎の不安定性を確認する場合があります。
MRI検査
MRIでは、
脊柱管の狭さ
神経の圧迫
椎間板
周囲の軟部組織
などを詳しく確認できます。
日本整形外科学会でも、MRIによって神経圧迫の程度を評価するとしています。
腰椎変性すべり症の治療
診断されたからといって、
すぐ手術になるわけではありません。
日本脊椎脊髄病学会では、治療はまず保存療法を基本としています。
症状に応じて、
鎮痛薬などの薬物療法
コルセット
リハビリテーション
ストレッチ
筋力訓練
注射治療
などを組み合わせます。
リハビリは何をする?
痛みや神経症状の状態を確認しながら、
腰を支える筋肉
腹部の筋肉
お尻の筋肉
股関節周囲
下肢筋力
などを評価します。
重要なのは、
「腰が悪いから動かない」ではなく、症状に合わせて適切に身体を動かすこと
です。
ただし自己流で激しい腰痛体操を行う必要はありません。
症状によって適切な運動が異なるため、医師や理学療法士へ相談してください。
手術が必要になるケース
保存治療を行っても、
歩ける距離が非常に短い
立っていられない
強い脚の痛み・しびれが続く
筋力が低下している
日常生活への支障が大きい
場合には手術を検討します。
日本整形外科学会では、薬物療法・理学療法・注射などでも改善せず、歩行や立位保持が制限される場合に手術を検討するとしています。
手術では状態によって、
神経の圧迫を取り除く「除圧術」
や、
ずれ・不安定性が強い場合の「固定術」
などが行われます。
特に注意したい「尿の異常」
腰の病気と尿は関係ないと思われるかもしれません。
しかし神経圧迫が強くなると、
尿が出にくい
尿が残っている感じがする
尿漏れ
排便の異常
股間・会陰部の感覚がおかしい
などの症状が出ることがあります。
日本脊椎脊髄病学会では、腰部脊柱管狭窄症で残尿感などの膀胱・直腸症状が起こることがあるとしています。
急に尿が出なくなった、会陰部がしびれる、両脚の麻痺が急に悪化したといった場合は、通常の外来を待たず速やかな医療評価が必要です。
女性の腰痛は「腰椎だけ」が原因とは限らない
ここも女性では重要です。
腰痛の原因には腰椎疾患だけでなく、
子宮筋腫
子宮内膜症
尿管結石
股関節疾患
骨折
感染症
などが隠れていることがあります。
日本整形外科学会でも、腰痛は整形外科疾患だけでなく、泌尿器・婦人科・消化器など幅広い病気で起こるとしています。
だからこそ、
「50代だから腰が痛いのは普通」
と自己判断しないことが大切です。
こんな女性は一度整形外科へ
次のような症状があれば、一度腰の状態を確認してみましょう。
長く歩くとお尻や脚が痛い
脚がしびれる
少し休むとまた歩ける
スーパーのカートなら歩きやすい
長時間立っていられない
以前より歩ける距離が短くなった
腰痛が長期間続いている
お尻から脚に痛みが走る
脚に力が入りにくい
50代以降になって症状が悪化してきた
腰痛がなくても、脚のしびれや歩行障害が中心となる腰椎変性すべり症があります。
早めに受診した方がよい症状
次の症状を伴う腰痛・下肢症状は放置しないでください。
安静にしていても強く痛む
痛みが急速に悪化する
発熱を伴う
脚に急に力が入らなくなった
尿が出にくい・尿漏れが起こった
排便がおかしい
会陰部がしびれる
日本整形外科学会も、安静で軽快しない腰痛、悪化する痛み、発熱、下肢の麻痺や尿漏れなどがある場合には速やかな整形外科受診を勧めています。
よくある質問
Q. 腰椎すべり症は女性に多いですか?
腰椎変性すべり症は、中年以降の女性に多いことが知られています。
Q. 腰が痛くなくても腰椎すべり症ですか?
あります。
腰痛がほとんどなく、お尻・太ももの痛みや脚のしびれ、歩行障害が中心になる患者さんもいます。
Q. すべった骨は体操で元に戻りますか?
体操だけで骨そのもののずれを元通りにすることを目的とするわけではありません。
リハビリでは筋力・姿勢・身体機能を改善し、症状や日常生活への支障を減らすことを目指します。
Q. 腰椎すべり症は必ず手術になりますか?
いいえ。
まず薬物療法やリハビリなどの保存治療を行い、強い歩行障害や神経症状が残る場合などに手術を検討します。
まとめ|50代以降の女性の「歩けない」は腰からのサインかもしれません
腰椎変性すべり症は、中年以降の女性に多い腰椎疾患です。
典型的なのは、
歩く↓お尻・脚が痛む、しびれる↓休む↓楽になる↓また歩ける
という症状です。
そして重要なのは、
腰痛がなくても腰椎変性すべり症はあり得る
ということです。
「年齢だから歩けなくなった」
「脚のしびれだから腰とは関係ない」
と考えず、
歩ける距離が短くなった
お尻や脚がしびれる
長時間立っているのがつらい
という変化がある場合は、一度整形外科へご相談ください。
正確に原因を確認し、薬・リハビリ・注射などの保存治療から、必要に応じた手術まで、症状に合わせて治療を選択することが大切です。





