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女性の尿漏れはなぜ起こる?くしゃみ・運動で漏れる原因と骨盤底筋・治療

9月15日
読了時間: 9分
女性の尿漏れはなぜ起こる?くしゃみ・運動で漏れる原因と骨盤底筋・治療

「くしゃみをした瞬間に尿が漏れた」

「走ったりジャンプしたりすると下着が濡れる」

「出産してから尿漏れが気になるようになった」

「40代・50代になって以前より尿漏れが増えた」

このような悩みはありませんか?

女性の尿漏れ(尿失禁)は、決して珍しい症状ではありません。

特に、くしゃみ・咳・笑う・走る・重い物を持つなど、お腹に力が入った瞬間に尿が漏れる場合は、腹圧性尿失禁の可能性があります。

出産や加齢、更年期、肥満などによって骨盤底の機能が低下することが関係します。東京泌尿器科医会でも、出産・肥満・更年期以降の女性ホルモン低下・加齢などによる骨盤底の脆弱化が腹圧性尿失禁の主な原因として挙げられています。

今回は、女性に多い尿漏れについて、原因・種類・骨盤底筋との関係から治療まで詳しく解説します。

女性の尿漏れ(尿失禁)とは?

尿失禁とは、自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまう状態です。

「年齢だから仕方ない」

「出産した女性なら普通」

と思って我慢している方もいますが、尿漏れにはいくつかの種類があり、原因に合わせた治療によって改善できる可能性があります。

特に女性では、妊娠・出産などによって骨盤底に負担がかかるため、尿漏れが起こりやすくなります。

くしゃみ・咳で尿が漏れる「腹圧性尿失禁」

女性の尿漏れで代表的なのが、腹圧性尿失禁です。

例えば、

  • くしゃみをする

  • 咳をする

  • 大笑いする

  • 走る

  • 縄跳びをする

  • ジャンプする

  • 階段を駆け下りる

  • 重い荷物を持つ

といった動作で尿が漏れます。

これらの動作では、お腹の中の圧力である「腹圧」が急激に高くなります。

健康な状態では、骨盤底筋などが尿道を支えることで尿が漏れないようにしています。

しかし骨盤底の支持力が弱くなると、腹圧が膀胱に加わったときに尿道を十分閉じられず、尿が漏れやすくなります。

女性の尿漏れはなぜ起こる?

原因は一つではありません。

女性の場合、特に重要なのが次のような要因です。

妊娠・出産

妊娠すると子宮が大きくなり、骨盤底に負担がかかります。

さらに経腟分娩では、赤ちゃんが産道を通る際に骨盤底筋や周囲の組織・神経が大きく伸ばされます。

そのため、

「出産してから、くしゃみをすると尿が漏れるようになった」

という女性は珍しくありません。

欧州泌尿器科学会のガイドラインでも、妊娠中の骨盤底筋訓練は妊娠後期や産後早期の尿失禁リスク低下と関連し、産後も尿失禁が続く女性に対する骨盤底筋訓練の有効性が示されています。

加齢

年齢とともに筋肉は少しずつ衰えていきます。

骨盤底筋も例外ではありません。

若い頃には問題がなかった女性でも、

40代・50代以降になって尿漏れが気になり始める

ことがあります。

更年期

更年期以降は、女性ホルモンであるエストロゲンが低下します。

それに加えて加齢による骨盤底機能の変化などが重なるため、中高年女性では尿トラブルが目立つことがあります。

ただし、

「更年期=必ず尿漏れする」

という意味ではありません。

尿漏れのタイプをきちんと見極めることが重要です。

肥満

体重が増えると骨盤底にかかる負担も大きくなります。

特に腹圧性尿失禁では、肥満が症状に関係する場合があります。

肥満がある方では、減量によって尿失禁が改善する可能性もあります。

慢性的な咳や便秘

咳を繰り返したり、便秘で頻繁に強くいきんだりすると、そのたびに骨盤底へ圧力が加わります。

長期間続けば、骨盤底に負担がかかる要因になります。

骨盤底筋とは?

尿漏れを理解するうえで重要なのが、骨盤底筋です。

骨盤底筋は、骨盤の底でハンモックのように、

  • 膀胱

  • 子宮

  • 直腸

などを支えている筋肉群です。

さらに尿道や肛門を締める働きにも関係しています。

この骨盤底の機能が低下すると、

尿漏れだけでなく、骨盤臓器脱などのトラブル

につながる場合もあります。

「急にトイレに行きたくなって漏れる」のは別タイプ

尿漏れはすべて腹圧性尿失禁ではありません。

突然、

「トイレに行きたい!」

という強い尿意が起こり、トイレまで我慢できずに漏れてしまうものを切迫性尿失禁といいます。

過活動膀胱などでみられる症状です。

腹圧性尿失禁とは症状の出方が違います。

種類

主な症状

腹圧性尿失禁

くしゃみ・咳・運動などで漏れる

切迫性尿失禁

急な強い尿意を我慢できず漏れる

混合性尿失禁

両方の特徴がある

「くしゃみでも漏れるし、急な尿意でも漏れる」という女性もいます。

これを混合性尿失禁と呼びます。

治療方法が異なるため、どのタイプなのかを判断することが大切です。

女性の尿漏れは何科を受診する?

基本的には泌尿器科です。

女性泌尿器科やウロギネコロジーを専門とする医療機関もあります。

受診すると、

  • どんなときに漏れるか

  • 1日に何回排尿するか

  • 夜間に何回トイレへ行くか

  • 尿意切迫感があるか

  • 出産歴

  • 手術歴

  • 服用薬

  • 尿検査

  • 残尿量

などを確認します。

必要に応じて、骨盤底の評価や尿流動態検査など、さらに詳しい検査を行うことがあります。日本のガイドラインでも、症状に応じて骨盤底や尿路の評価、尿流動態検査などを組み合わせる診療アルゴリズムが示されています。

自宅でできる「骨盤底筋訓練」

軽度から中等度の腹圧性尿失禁で非常に重要なのが、**骨盤底筋訓練(PFMT)**です。

日本排尿機能学会・日本泌尿器科学会のガイドラインでは、骨盤底筋訓練は女性の尿失禁治療の**第一選択(推奨グレードA)**とされています。

海外のNICEガイドラインでも、腹圧性尿失禁または混合性尿失禁の女性に対し、少なくとも3か月間の専門家の指導下で行う骨盤底筋訓練を第一選択として推奨しています。

骨盤底筋トレーニングのやり方

まず、尿やおならを我慢するときのようなイメージで、

腟と肛門の周囲を内側へ引き上げるように締めます。

ポイントは、

お腹やお尻に力を入れるのではなく、骨盤底を意識すること。

締めたあとには、しっかり力を抜きます。

これを繰り返します。

ただし、骨盤底筋は目で確認しにくいため、

実は違う筋肉を一生懸命鍛えていた

というケースがあります。

NICEも、自己流で長期間行っていても正しく実施できていない女性がいることから、専門家の指導下でのトレーニングを重視しています。

「尿を途中で止める練習」は毎日しない

骨盤底筋の場所を理解するために、

「排尿中に尿を止める筋肉」

と説明されることがあります。

しかし、毎回排尿を途中で止めてトレーニングする方法はおすすめできません。

普段のトレーニングは、排尿していないときに行います。

正しい収縮が分からない場合には、医療機関や骨盤底リハビリテーションなどで確認するのがおすすめです。

どれくらい続ければいい?

骨盤底筋は、数日鍛えただけですぐ強くなるものではありません。

日本のガイドラインで取り上げられている研究でも8~12週間程度の治療期間が多く、NICEでは少なくとも3か月間の指導下トレーニングを推奨しています。

つまり、

「1週間やったけれど治らない」

と諦めるのは早いということです。

正しい方法で継続することが重要です。

日常生活でできる尿漏れ対策

骨盤底筋訓練だけでなく、生活習慣の見直しも役立つことがあります。

特に、

  • 肥満がある場合の適正体重への改善

  • 便秘の改善

  • 慢性的な咳の治療

  • 過度な腹圧がかかる状況の見直し

などです。

ただし、水分を極端に減らして尿漏れを防ごうとするのはおすすめできません。

水分制限が必要な病気がある場合を除き、自己判断で極端に飲水量を減らさないようにしましょう。

骨盤底筋訓練で治らない場合は?

尿漏れが強い場合や、十分な保存的治療を行っても生活に支障がある場合には、さらに治療を検討します。

腹圧性尿失禁に対しては、症状や患者さんの希望に応じて、

  • 保存的治療

  • 尿失禁用の装具など

  • 手術療法

などがあります。

日本の女性下部尿路症状診療ガイドラインでは、専門的治療の選択肢として尿道スリング手術などが示されています。

尿道スリング手術とは?

腹圧性尿失禁に対する代表的な手術の一つです。

尿道の下をテープなどで支えることで、咳やくしゃみなどで腹圧がかかったときに尿が漏れにくくします。

ただし、

「尿漏れで泌尿器科を受診したら、すぐ手術になる」

わけではありません。

まず症状の種類や程度を評価し、骨盤底筋訓練などの保存的治療を行ったうえで、必要性やメリット・リスクを考慮して治療方法を選択します。

尿漏れパッドだけで我慢していませんか?

尿漏れパッドは日常生活を快適にするために役立ちます。

ただし、

パッドは尿漏れそのものを治療するものではありません。

「毎日使うのが当たり前になった」

「以前より厚いパッドが必要になった」

「外出や運動を避けるようになった」

という場合には、一度原因を調べてみる価値があります。

こんな症状があれば早めに受診を

尿漏れだけでなく、次のような症状がある場合には泌尿器科を受診しましょう。

  • 血尿がある

  • 排尿すると痛い

  • 発熱がある

  • 腰や背中が痛い

  • 尿が出にくい

  • 排尿後も尿が残っている感じが強い

  • 急に尿漏れが始まった

  • 足のしびれや麻痺を伴う

  • 陰部から何かが下がってくる感じがする

尿路感染症や尿路結石、骨盤臓器脱、神経疾患など、別の病気が隠れている可能性もあります。

よくある質問

Q. 出産後の尿漏れは自然に治りますか?

産後に改善する方もいますが、尿漏れが続く場合もあります。産後も症状が持続する女性では、骨盤底筋訓練が有効とされています。

Q. 40代・50代になって急に尿漏れが増えることはありますか?

あります。加齢による骨盤底機能の変化や、更年期以降の身体の変化、体重増加など複数の要因が関係する場合があります。

Q. スクワットをすれば骨盤底筋も鍛えられますか?

一般的な筋力トレーニングと骨盤底筋訓練は同じではありません。骨盤底筋を正しく収縮させることが重要です。

Q. 尿漏れは恥ずかしくて受診しにくいです。

尿失禁は医療機関で相談・治療できる症状です。症状が生活や運動、外出に影響しているなら、我慢し続ける必要はありません。

Q. 骨盤底筋トレーニングだけで改善しますか?

軽症~中等症では改善が期待できます。日本のガイドラインでも骨盤底筋訓練は第一選択として推奨されています。 一方、症状が強い場合などは手術を含めた別の治療を検討することがあります。

まとめ|女性の尿漏れは「年齢や出産のせい」と諦めない

くしゃみや咳、運動をしたときに尿が漏れる場合は、腹圧性尿失禁が考えられます。

特に、

妊娠・出産加齢更年期肥満骨盤底機能の低下

などが関係します。

そして重要なのが、骨盤底筋訓練です。

日本の診療ガイドラインでも、女性の尿失禁に対する第一選択として推奨されています。

「少し漏れるだけだから」

「出産したから仕方ない」

「年齢だから治らない」

と我慢せず、症状が続く場合や日常生活に支障がある場合には泌尿器科へ相談しましょう。

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