健康診断の「貧血検査」で何がわかる?赤血球・ヘモグロビン・ヘマトクリットを数値で解説
- 7月18日
- 読了時間: 6分

健康診断の結果表を見ると、貧血検査の欄に「RBC」「Hb」「Ht」といった項目が並んでいます。
どれも血液に関係する数値ですが、役割は少しずつ異なります。
簡単に表すと、
赤血球数(RBC)=酸素を運ぶ車の台数
ヘモグロビン(Hb)=実際に運べる酸素の量
ヘマトクリット(Ht)=血液の中を赤血球が占める割合
です。
貧血の有無を判断するときは、特にヘモグロビンの数値が重要です。赤血球数が基準範囲内でも、ヘモグロビンが低ければ貧血の可能性があります。
貧血検査の主な基準範囲
以下は、日本臨床検査標準協議会の共用基準範囲を分かりやすく丸めた成人の目安です。実際の基準範囲は、検査機関、年齢、性別などによって異なるため、必ず健康診断結果に記載された基準値と比較してください。
検査項目 | 男性の目安 | 女性の目安 |
赤血球数・RBC | 430~560万/μL | 380~500万/μL |
ヘモグロビン・Hb | 13.5~17.0g/dL | 11.5~15.0g/dL |
ヘマトクリット・Ht | 40~50% | 35~45% |
基準範囲とは、健康な人の測定値の多くが含まれる範囲です。基準値から少し外れただけで病気が確定するわけではなく、症状や過去の数値、ほかの検査結果と合わせて判断します。
1.赤血球数・RBCとは?
赤血球は、肺で取り込んだ酸素を全身へ運ぶ血液の成分です。
赤血球数は、一定量の血液の中に赤血球が何個あるかを表します。結果表では「RBC」と記載され、単位は「万/μL」などで表示されます。
赤血球数が低い例
女性の健康診断で、
赤血球数:350万/μL
ヘモグロビン:10.5g/dL
ヘマトクリット:32%
だった場合、3項目とも基準範囲を下回っており、貧血が疑われます。
月経による出血、鉄分不足、消化管からの出血、慢性疾患など、さまざまな原因が考えられるため、追加検査で原因を調べることが大切です。
赤血球数が正常でも安心とは限らない
女性で、
赤血球数:410万/μL
ヘモグロビン:10.8g/dL
ヘマトクリット:34%
という結果だったとします。
赤血球数は基準範囲内ですが、ヘモグロビンとヘマトクリットが低く、貧血の可能性があります。
鉄欠乏性貧血の初期では、赤血球数が正常範囲に残ったまま、ヘモグロビンが先に低下することがあります。そのため、赤血球数だけで貧血を判断することはできません。
2.ヘモグロビン・Hbとは?
ヘモグロビンは赤血球の中に含まれるたんぱく質で、酸素と結びついて全身へ運ぶ働きをしています。
貧血は、基本的にヘモグロビンの濃度を中心に判断します。成人では一般的に、男性で13g/dL前後を下回る場合、女性で12g/dL前後を下回る場合が貧血を考える目安になります。
ヘモグロビンの数値の見方
例えば女性の場合、
13.0g/dL:一般的には基準範囲内
11.5g/dL:施設によっては下限付近
10.5g/dL:貧血が疑われる
8.0g/dL:より進んだ貧血の可能性があり、早めの受診が必要
と考えます。
ただし、同じ数値でも、急に低下したのか、以前からゆっくり低下しているのかによって体への影響は異なります。前年が13.5g/dLで、今年が11.5g/dLだった場合は、基準値付近でも数値が大きく下がった原因を確認することが大切です。
3.ヘマトクリット・Htとは?
ヘマトクリットは、血液全体の中で赤血球が占める割合を表した数値です。
例えばヘマトクリットが「45%」の場合、血液の容積のおよそ45%を赤血球が占めているという意味です。ヘモグロビンと同様に、貧血や血液の濃さを調べる手がかりになります。
ヘマトクリットが低い場合
女性で、
ヘマトクリット:31%
ヘモグロビン:10.2g/dL
の場合は、血液中の赤血球の割合とヘモグロビンの両方が少なく、貧血が疑われます。
ヘマトクリットが高い場合
男性で、
赤血球数:580万/μL
ヘモグロビン:17.3g/dL
ヘマトクリット:52%
の場合は、血液が濃くなっている可能性があります。
汗をかいた後や水分不足による脱水でも一時的に高くなることがありますが、喫煙、睡眠時無呼吸症候群、肺や心臓の病気、真性多血症などが関係する場合もあります。高値が続く場合は、自己判断せず医療機関へ相談しましょう。
3項目をまとめて見ることが大切
健康診断の貧血検査は、1つの数値だけではなく、赤血球数・ヘモグロビン・ヘマトクリットを組み合わせて確認します。
基準範囲内の例
成人男性で、
赤血球数:480万/μL
ヘモグロビン:15.0g/dL
ヘマトクリット:45%
であれば、一般的には3項目とも基準範囲内です。
貧血が疑われる例
成人女性で、
赤血球数:390万/μL
ヘモグロビン:10.3g/dL
ヘマトクリット:33%
の場合、赤血球数は下限付近でも、ヘモグロビンとヘマトクリットが低いため、貧血が疑われます。
多血症が疑われる例
成人男性で、
赤血球数:600万/μL
ヘモグロビン:18.0g/dL
ヘマトクリット:54%
の場合は、脱水や喫煙の影響を含め、赤血球が多くなる原因を調べる必要があります。
貧血の原因を調べる追加検査
赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリットだけでは、貧血の原因までは特定できません。
異常がある場合は、次のような項目を追加して調べます。
MCV
赤血球1個の大きさを表す数値です。
MCVが低い:鉄欠乏性貧血など
MCVが正常:慢性疾患や腎機能低下など
MCVが高い:ビタミンB12・葉酸不足、肝疾患、飲酒の影響など
貧血を小球性・正球性・大球性に分類し、原因を絞るために役立ちます。
フェリチン・血清鉄
フェリチンは、体内に蓄えられている鉄の量を確認する指標です。ヘモグロビンが低く、MCVやフェリチンも低い場合は、鉄欠乏性貧血が疑われます。
貧血でみられる症状
貧血があると、次のような症状が現れることがあります。
疲れやすい、体がだるい
階段や坂道で息切れする
動悸がする
立ちくらみがする
顔色が悪いと言われる
頭痛や肩こりがある
一方、ゆっくり進行した貧血では、体が状態に慣れてしまい、本人がほとんど症状を感じないこともあります。実際には、自覚症状がなく、健康診断で初めて貧血を指摘される方も少なくありません。
健康診断で異常を指摘されたら
結果表に「要再検査」「要精密検査」「要受診」と記載されている場合は、症状がなくても放置せず、医療機関へ相談しましょう。
特に、前年よりヘモグロビンが大きく低下している場合、月経量が多い場合、黒っぽい便や血便がある場合などは、出血を含めて原因を確認する必要があります。
また、貧血のすべてが鉄不足とは限りません。検査をせずに鉄剤やサプリメントを始めると、原因の判断が難しくなることがあります。まずは血液検査で貧血の種類と原因を確認することが大切です。
まとめ
健康診断の貧血検査では、主に次の3項目を確認します。
赤血球数は、酸素を運ぶ赤血球の数。ヘモグロビンは、血液が酸素を運ぶ能力。ヘマトクリットは、血液中に赤血球が占める割合。
なかでも、貧血の判断で特に重要なのはヘモグロビンです。
赤血球数が正常でも貧血が隠れている場合があるため、3項目をまとめて確認し、過去の結果とも比較しましょう。異常を指摘された方は、健康診断の結果表を持参して医療機関へご相談ください。






